パーム油の生産と輸出

 インドネシアは、世界最大のパーム油の生産・輸出国だ。2019年のインドネシアのパーム原油(CPO)生産量は4,840万トンで、そのうちスマトラ島リアウ州が20%、中部カリマンタン州が15%、北スマトラ州が14%、西カリマンタン州が10%となっている(インドネシア中央統計庁)。インドネシアには約3,500社のパーム油会社があり、パーム油プランテーションのうち約41%が小規模農家だ。
 パーム油は、インドネシアに最大の外国為替収入をもたらしており、貿易収支の黒字に大きく貢献している。20年には、輸出額1,631億9,200万ドルのうち、パーム油製品とその関連品の輸出総額は229億7,000万ドルにおよび、貿易収支は217億ドルの黒字となった(Indonesian Palm Oil Association)。インドネシア政府はパーム精製油の輸出を促しており、中国、インド、パキスタンなど精製設備があまり整っていない国への輸出が広がっている。

インドネシアのパーム油の輸出国 (2020年)

輸出国輸出量(万t)
中国617.3
インド527.6
EU492.3
アフリカ諸国277.5
パキスタン250.4
中東220.2
米国149.4
バングラディッシュ105.9
その他760.1
(出典:IPOC2021「Palm Oil Price in 2022:
Indonesia’s Perspective」発表資料より)

環境問題への対応

 インドネシアでは、森林はすべて国有林であり、これまでアブラヤシ農園の開発による森林の減少が環境問題となってきた。そのため、インドネシア政府は新たなアブラヤシ農園開発を行う企業に対して森林を開放、交換する手続きを18年から一時停止にしており、新たな農園開発を制限することで、農園の持続可能性の確保やCO2排出量の削減を目指しているという。
 インドネシアはパーム産業の発展による経済成長を図っているが、ジョコ・ウィドド大統領は、(農地の拡大に頼らずに)すでにある農園の生産性を高めることで増産を図ると発表をしている。持続可能な方法で、産業の成長を目指す取り組みも始まっている。