パーム油とは?~パーム油の原料
パーム油とは、「アブラヤシ」という植物の実の果肉から絞って得られる植物油だ。その原料となるアブラヤシの実は20~30kgもあり、東南アジアのインドネシアやマレーシアのパーム農園のプランテーションで栽培されている。果肉から絞った油は「パーム原油(CPO)」と呼ばれ、脱臭・脱色・脱酸の精製工程を経てパーム精製油(RBD PO)となる。「パーム核油(PKO)」(パームカーネル油)は、アブラヤシの種(核)から絞った油。パーム核原油(CPKO)を精製して、パーム核精製油(RBD PKO)がつくられる。
日本では、2018年のパーム油供給量は60.4万トン(財務省「貿易統計」、農水省・農林水産物)で、年間約60~70万トンのパーム油を輸入している。パーム油のうち、液体で主に食用油として使われる「RBDオレイン」の残渣を脱酸・漂白・脱臭した「RBDステアリン」が、洗剤や化粧品、石鹸の原料のほか、主にバイオマス発電の燃料となる。精製されたパーム油のうち、オレインが約70%、ステアリンは約30%を占める。
パーム油の生産量
2018年の世界のパーム油の生産量は7,283.5万トンで、国別生産量では1位のインドネシアが57%、2位のマレーシアが28%を占める。インドネシアとマレーシアの2カ国で、世界で使われるほとんどのパーム油が生産されている。
インドネシアのアブラヤシの栽培面積は06年の411万haから17年に927.8万haになり、11年間で約2倍に増えた(FAO STAT Date:10.Oct.2019)。インドネシアは生産量が約2倍に増えたことで、2000年代後半にそれまで1位だったマレーシアを超えて、パーム油の世界1位の生産・輸出国となった。
インドネシアでは、アブラヤシの収穫可能面積は1,140万haで、単収は1haあたり3.81tだ(Oil World Annual 2019)。パーム油は、収穫量が大豆油の約8倍、ヒマワリ油の約6倍、菜種油の約5倍とほかの作物比べて多いため、単位面積あたりの収益性が高いことが注目されている。
パーム油は世界的な需要増や生産地の天候不順などにより、価格の高騰が課題となっている。
パームエナジーの利点
再生可能エネルギーには多種多様な形態があり、多様な再生エネルギーを活用することが大切だ。我々が主張するパームエナジー(パーム総合燃料)が、再生エネルギーの主流になるという傲慢な考えはない。一端を担えれば幸いであると切望している。このパームエナジーの利点として、主に次の3点を挙げることができる。
- 原料のヤシは樹木。20年周期で再生できる。地球に優しい存在で、CO₂削減の貢献度は大きい。
- 安定的に供給できるメリットがある。大型発電所は必要ない。小型発電のネットワーク化が可能である。
- 地域でエネルギーを自立できる社会の構築が可能である。