パーム油のアナリストは、マレーシアとインドネシアでは、パーム油の原料となるアブラヤシの収穫のピークとなる季節を10月~11月にかけて迎えたため、粗パーム油(CPO)価格は引き続き現在の水準にとどまると予測している。

CPO価格は安価な水準が続く

 マレーシアのCGS-CIMB Securities Sdn. Bhd.農業部門研究者のIvy Ng Lee Fangは、世界経済が減速し需要が増加しないという懸念から、粗パーム油(CPO)価格は現在の水準にとどまるだろうと語った。経済・金融メディアのThe Edge Marketsによると、Ivy Ng Lee Fangは、「パーム油の供給は豊富ではありませんが、十分にあります。一方、世界的な景気減速によりパーム油の需要がそれほど高くない可能性があり、CPO価格は安価な水準が続くでしょう」と述べたという。

 Ivy Ng Lee Fangは、マレーシア・パーム油委員会(MPOB)のデータに基づいて、2022年にCPO平均価格が1tあたり5,000リンギットに達し、23年にはCPO平均価格が1tあたり3,800リンギット前後になると推定している。

 以前はマレーシアのPhillip Capital Sdn. Bhd.でデリバティブ専門アナリストを務め、現在はIceberg X Sdn. Bhd.のパーム油トレーダーのDavid Ngは、ドルに対するリンギット安によっても、CPO価格は影響を受けると考えている。

 「しかし生産量が増加し、全体的に在庫が増えて200万トンを超えると、将来、CPO価格に上昇の圧力がかかる可能性があります」(David Ng)。

 一方、ウクライナ危機とインドネシアの輸出税政策により、近い将来、CPOの値動きは影響を受ける可能性がある。David Ngは、22年の10~12月と2023年1~3月にかけてCPO生産量が減少する見込みであるため、CPO価格は1tあたり4,000~4,700リンギットになる可能性があると予測している。

 Ivy Ng Lee Fangの分析によると、通常、ドルが上昇すると、多くの商品を輸入しているアジアの国々にとって商品価格が上昇するため、さまざまな国の消費需要が弱まり、商品価格は下落する傾向がある。

 「自国の通貨が下落すると高くなったドルを買えなくなります。そうするとパーム油価格が下がらない限り、パーム油の需要は減るでしょう」(Ivy Ng Lee Fang)。

出典:InfoSAWIT 12月6日付