インドネシア産のパーム椰子殻(PKS)は、世界の再生可能エネルギーの市場、とくに日本、中国、韓国、台湾、タイ、ポーランドで注目を集めている。PKSは、バイオマス発電所で主要なバイオ燃料として利用されている。日本はこれまで、毎年約120万tのPKSを輸入してきた。

パーム椰子殻(PKS)の輸出

 インドネシアPKS協会(APCASI)のデータによると、インドネシアのパーム椰子殻(PKS)生産量は過去10年間で増加している。2019年のPKS生産量は997万tに達し、総生産量のうち約17.25%に相当する172万tが輸出されている。インドネシアは、PKSの輸出により毎年2億5,000万ドルの外貨を得ており、その納税額は毎年5,500万ドルにおよぶ。

 インドネシアは現在、年間平均4,800万トンの粗パーム油(CPO)を生産している。インドネシアの平均抽出率に基づくと、アブラヤシの総生産量のうち約23%がCPOとなり、約5~6%がPKSとなる。

 Dikki Akhmar・インドネシアPKS協会会長は、インドネシアはPKSをまだ十分に輸出していないと述べた。「インドネシアではこれまで、年間170~200万tしかPKSを輸出してきませんでした。つまり、PKS総生産量のうち、輸出される割合はわずか18~20%ほどです。残りの約80%のうち一部は企業により工場で使用されますが、残りは廃棄され、交通の不便な場所では商品として取引されにくい状況にあります」。

年間120万トンのPKSを輸入

 日本では、2011年の福島第一原発事故の後、PKSは再生可能エネルギー燃料として使用されてきた。日本政府は経済産業省を通じて、再エネの固定価格買取制度(FIT)の燃料としてPKSを採用している。PKSを発電燃料として使用する日本の発電所は、1kWhあたり1.5円のインセンティブが与えられる。日本はこれまで、毎年約120万tのPKSを輸入してきた。

 「この状況からも、日本のバイオマス発電所の運営企業とPKS取引の長期契約を結んだインドネシアPKS協会の加盟企業があることは理にかなっています。契約期間は10~15年間となっています」(Dikki Akhmar会長)。

PKS燃料の需要が増加

 Bayu Krisnamurthi・インドネシア・パーム油プランテーション基金管理庁(BPDPKS)前会長は、PKSの需要が高まっているため、パーム油製品に加えてPKSもインドネシアにとって有望な輸出商品であることが示されていると語った。

 「パーム油工場や小規模農家は、パーム油製品の販売から収益を得るだけでなく、パーム油の製造工程で副産物として得られるPKSからも収益を得ることができます。パーム油の原料となるアブラヤシを栽培している農園では、すべての商用施設のなかで最も多くのバイオマスが生産されており、1haあたり約28tのバイオマス副産物が得られます」(Bayu Krisnamurthi前会長)。

 Bayu Krisnamurthi前会長は加えて、「インドネシアは天然ガスを他国に安く輸出していますが、一方、天然ガス由来の製品を高価な価格で輸入しています。インドネシアは天然ガスの貿易におけるこのような行いを繰り返すべきではありません。再エネの燃料として利用できるPKSと『パーム核ケーキ(PKC)』を活用できるよう、政府は戦略をよく検討する必要があります。PKSとPKCは、海外市場で高まっている需要を満たすだけでなく、インドネシア国内のエネルギー需要を満たすためにも利用されることが求められています」(Bayu Krisnamurthi前会長)。

出典:インドネシアパーム油協会(IPOA) 11月11日付
   (記事の出典:Warta Ekonomi)