インドネシアパーム油協会(IPOA)は、世界で景気後退が予測されるなか、パーム油の価格は2023年に下落すると予測している。来年はパーム油の生産量と消費量もわずかに減少する見込みだ。

景気後退による影響

 国際通貨基金(IMF)は、2023年の世界経済成長予測を2.9%から2.7%に引き下げた。景気後退に対する深刻さは国によって異なるが、多くの専門家が今後の景気後退について警告している。

 インドネシアパーム油協会(IPOA)貿易部門責任者のFadhil Hasanは、世界経済の動向により、パーム油の価格が決まると語った。経済の低迷により、植物油の需要は打撃を受け、パーム油の価格が下落すると予測されている。「欧州連合では、景気の後退がかなり深刻になると考えています。ゼロコロナ政策を行っている中国だけでなく、米国も同様です。幸いなことに、インドネシアのパーム油の輸出先は主にインドです」(Fadhil Hasan)。

 同協会会長のJoko Supriyonoは、2022年のIPOC開幕にあたり、パーム油の価格は3月に1tあたり1,800ドルを突破し、パーム油の取引史上、最高値が記録されたことを語った。

生産の増加

 同協会は、パーム油の生産量が05年以降、減少傾向にあることを明らかにしている。パーム油の生産量は、過去3年間で▲約1.15%のマイナス成長となった。05~10年の10.12%の増加に比べて大幅に減少している。

 同協会の統計によると、21年のパーム油生産量は合計5,160万トンとなり、そのうち4,690万トンが粗パーム油(CPO)、残りの440万トンはパーム核油(PKO)であった。これまでの動向から判断して、22年のパーム油生産量は合計5,130万トンに減少すると予測されている。

バイオディーゼル「B30」政策を継続

 Fadhil Hasanは、軽油へのバイオディーゼル混合率を40%に増やすよりも、来年も軽油にバイオディーゼルを30%混合した「B30」の普及を続けることがインドネシア政府にとって最善であると語った。Fadhil Hasanによると、軽油にバイオディーゼルを40%混合した「B40」政策を実施すると、インドネシア現地でのCPO価格が影響を受ける可能性があるという。

 「B40の導入により、インドネシア国内のCPO価格が影響を受け、食用パーム油の価格が上昇します。インドネシア政府がこの状況を望んでいるとは考えられません。B40政策により、必ずしも適正な社会的利益がもたらされるとは限らないため、B30政策を続けることをお勧めします。B30政策により、すでに大きな社会的利益がもたらされているためです」(Fadhil Hasan)。

 同協会は、バイオ燃料に関する政府の計画により、パーム油の需要は輸出志向からインドネシア国内消費へと移行したことを報告した。来年、B40政策を実施するという政府の計画により、さらに300万トンのCPOがインドネシア国内で消費される見込みだという。

出典:インドネシアパーム油協会(IPOA) 11月7日付