インドネシア政府の輸出時のパーム油農園基金の課税を一時的に免除する措置により輸出が促進され、8月末時点でのパーム油在庫は2021年12月末時点とほぼ同水準となる410万トンまで減少した。この状況により、粗パーム油(CPO)価格が上昇傾向にある。加えて、カリマンタン島での洪水によりパーム油の生産が損なわれることなどの懸念によりCPO価格が上昇傾向にある。

パーム油の過剰在庫を削減

 「インドネシア政府が、輸出時のパーム油農園基金の課税を一時的に免除する措置を延長しているため、インドネシアの粗パーム油(CPO)輸出はマレーシアよりも競争力を維持していると考えられます」とマレーシアのCGS-CIMB Securities Sdn. Bhd.農業部門研究者であるIvy Ng Lee Fangは語った。パーム油農園基金の課税を停止する措置は、CPO基準価格が1tあたり800ドルを下回っている限り、12月末まで適用される。

 Ivy Ng Lee Fangは、この政策により、インドネシアのパーム油生産者の輸出が促されていると考えている。7月末のインドネシアのパーム油在庫は590万トンであっが、8月末には、2021年12月末の413万トンとほぼ同水準となる410万トンまで減少した。

パーム油価格が上昇した原因

 経済・金融メディアのThe Edge Marketsが報道したように、インドネシア政府がパーム油の輸出禁止を解除した後に、パーム油の過剰在庫の削減に成功したことが示されているという。この状況により、CPOのインドネシア現地価格は10月3日時点で1kg当たり10,530ルピア(1t当たり3,201リンギット)であったが、11月2日には1kg当たり12,878ルピア(1t当たり3,756リンギット)となり、10月3日比22%上昇した。

 世界でCPO価格が上昇した要因として、カリマンタン島の一部で洪水が起こったためパーム油の生産体制が弱体化する懸念があること、宗教的な祝祭に向けて備蓄を行うためにパーム油の需要が高くなったことなども挙げられる。

 「マレーシアの農園での人手不足やラニーニャ気候により、パーム油の供給量が回復する上で悪影響を受ける可能性があることも懸念されています」(Ivy Ng Lee Fang)。

出典:InfoSAWIT 11月9日付