インドネシア政府が5月下旬まで食用パーム油とその派生品の輸出を規制していた影響を受けて、インドネシアではパーム油の生産量が減少した。そのため、パーム油の生産における副産物であるパーム椰子殻(PKS)の生産量も減少し、PKS価格が高騰しているという。

 パーム椰子殻(PKS)価格が高騰している。インドネシア政府が4月下旬から5月下旬にかけて食用パーム油とその派生品の輸出を規制したため、パーム油企業が輸出できず、パーム油の生産規模が縮小した。そのため、パーム油の生産における副産物であるPKSの生産量も減少したという。インドネシアのパーム油輸出企業PT. ZANN CAPITAL INTERNATIONAL代表取締役・Danny Surya Dharmaは「インドネシアでPKSの生産が減少しても外国からのPKSを輸出してほしいという需要は変わりません。そのため、PKSの供給に対してPKS需要が多すぎるという事態になり、PKSが不足しています」と語る。

PT ZANN CAPITAL INTERNATIONAL代表取締役・Danny Surya Dharma
PT ZANN CAPITAL INTERNATIONAL代表取締役・Danny Surya Dharma

 一方、インドネシア政府は、パーム油の輸出時にかかるパーム農園管理庁の課税を8月31日まで一時的にゼロにしているため、今後はパーム油が輸出されやすくなり、PKSの供給が回復する可能性が高いという。

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パーム油の原料となるアブラヤシの実
左:PKSが厚いDura(デュラ)種、右:PKSが薄いTenera(テネラ)種

 マレーシアでは、パーム油の原料として栽培されているアブラヤシの品種は主にTenera(テネラ)種だ。テネラ種はPKSが薄いため、パーム油がよく取れる。しかし、PKSを燃料として用いる場合は厚さが薄いため、カロリーが比較的低い。一方、PKSが厚いDura(デュラ)種は主にインドネシアで栽培されているという。デュラ種はPKSが厚いため、パーム油の生産量は比較的少ない。しかしPKSを燃料として用いる場合はカロリーが高い。「PKS市場では、インドネシア産のカロリーが高いデュラ種の需要が高いです」(Danny Surya Dharma代表取締役)。

【石井 ゆかり】