パーム油の輸出動向
「インドネシアで食用パーム油とその派生品の輸出が大幅に制限されたときに、世界では、粗パーム油(CPO)に依存して一国の大統領の政策でサプライチェーンが混乱するのを避けるため、インドネシアやマレーシアから輸出されるCPOに依存するのをやめようという見方が広がりました」とインドネシアのパーム油輸出企業PT ZANN CAPITAL INTERNATIONAL代表取締役・Danny Surya Dharmaは話す。CPOの代替品として挙げられているのが、ひまわり油だ。ひまわり油は、ヨーロッパだけでなく中国とインドも生産に加わって生産量を増やし、サプライチェーンを構築していく動きが出ている。

インドネシア国内で食用パーム油が足りなくなったため、インドネシア政府は食用パーム油とその派生品の輸出を停止していた。「世界では、その政策を受けて、パーム油の需要が代替品となるひまわり油、大豆油、菜種油に向かい、CPO価格が下がっています」(Danny代表取締役)。パーム油は需要に比べて在庫が多すぎるため、インドネシア州直売所(メダン/ドゥマイ着)におけるCPO取引価格は約18,000ルピアから9,000ルピアまで下がったという。
PKS輸出品の競争が激化
インドネシアでは、パーム椰子殻(PKS)には、CPOの輸出減による影響はそれほどで出ていない。PKSはインドネシア国内での需要が増えたため、国内向けの流通が活発になり、流通が増えているという。Danny代表取締役は、「海外向けのPKSが少なくなっています。そのため、輸出品を確保する競争が激化し、PKS工場が強気な価格設定をしているため、PKS輸出価格が上がっています」と語る。
PKSの1tあたりの輸出価格の目安は、以下の通り。
・マレーシア(FOB ※):125ドル(マレーシアはPKS輸出税が課税されない)
・インドネシア(FOB ※):130~140ドル(輸出税とパーム油農園基金による課税あり)
【石井 ゆかり】
※ 本船渡し。運賃および保険料は買い手が負担する。