2021年のパーム油輸出動向
2021年はパーム油の需要が増加傾向にあり、コロナ禍からの回復に向けた年であったが、天候不順や肥料の供給不足、人手不足などの要因により、パーム生産は比較的停滞していた。インドネシアの21年のパーム原油(CPO)の生産量は4,688.8万トンとなり、前年の4,703.4万トンに比べて0.31%減少した。生産量が減少したのは、19~20年にかけての天候不順と施肥不足が原因だと推測されている。
21年のインドネシアの国内パーム油消費量は1842.2万トンとなり、前年の1734.9万トンに比べて6%増加した。食品部門の消費量は前年比6%増、油脂化学部門は同25%増、バイオディーゼル部門は同2%増となった。CPOの供給量とパーム油以外の植物油の輸出市場は、インドネシア政府がバイオディーゼル生産義務化計画を実施したことにより、影響を受けた。
21年のインドネシアのパーム油製品輸出量は3,420万トンとなり、前年の3,400万トンに比べてわずか0.6%増となった。パーム油製品には、CPO、加工済のCPO、パーム核油(PKO)、油脂化学物質(HS 2905、HS 2915、HS 3401、HS 3823 ※)、バイオディーゼル(HS 3826)が含まれる。輸出量の伸びが小さかったのは、供給量が限られていて価格が高く、パーム油とほかの植物油、とくに大豆油との価格の差が小さかったためだ。コロナ禍での消費の減少と輸入制限により、パーム油輸入国の需要が変わり、輸出量は月ごとに大きく変動した。
21年のインドネシアのパーム油製品輸出量は前年比わずか0.6%増であったが、21年のパーム油製品輸出額は350億ドルと前年の229億ドルに比べて52%増加した(インドネシア中央統計庁によると、脂肪と植物油(HS 15)の輸出額は328億ドルとなった)。21年のCPO平均価格が1tあたり1,194ドルとなり、20年の715ドルに比べて67%上がったため、輸出額が大幅に増加した。
2022年のパーム油輸出見通し
21年12月の植物油の価格は前年同月に比べて上がったが、前月比では価格が下がった。植物油の価格は、生産と需要が確実でないため変動する。南米では乾季にもかかわらず、22年の油糧種子の生産量は高いと予測されており、生産性が今後低下する可能性もあるため、慎重に検討することが必要だ。油糧種子の生産量が多くても、いくつかの要因があるためにそのまま植物油の供給量の増加につながることはないだろう。21年に枯渇した油糧種子の在庫を回復させる時期であるが、油かすの価格低下は、植物油の供給量が下がる要因になると見込まれる。
通常の年であれば年の前半よりも後半のほうがパーム生産量は多いが、21年後半の生産量は予想を下回ったため、21年のパーム油の生産量は想定外の結果となった。22年前半の生産量により、このまま生産量の減少が続くのかどうかがわかるだろう。21年は肥料が不足し肥料価格が上昇したため施肥が少ない。22年の生産でもその影響を受けるだろう。22年の第1四半期だけでなく第2四半期の生産も、年の初めに雨天が長く続いた影響を受けるだろう。22年のインドネシアのCPO生産量は4,900万トン、PKO生産量は480万トンとなり、CPOとPKOの合計生産量は5,380万トンで前年の5,130万トンに比べて4.87%増になると予測されている。
インドネシアの国内パーム油消費量は、コロナ禍の影響を大きく受けている。21年には、食品部門の合計消費量は前年比6%増、油脂化学部門は同25%増、バイオディーゼル部門は2%増となった。22年には、食品部門の消費量は前年とほぼ同じ割合で増加し、月間約80万トン(年間960万トン)になると予測されている。21年6~12月の油脂化学物質部門の消費量は月間約18万トンに停滞していたが、22年もその状況が続いて年間消費量は216万トンになると予測されている。22年のバイオディーゼルの消費量は、インドネシア政府がバイオディーゼルを30%含む燃料「B30」の義務化プログラムを推進しているため、約883万トンになるだろう。従って、22年の国内消費量は約2,059万トンと推測される。
22年のインドネシアのパーム油(PKO含む)生産量は5,380万トン、国内消費量は2,059万トンであるため、輸出量は3,321万トン(前年比3%減)になると推定される。
出典:インドネシアパーム油協会(IPOA) 2月2日付