インドネシア国営電力会社・PT. Pembangkit Listrik Negara(Persero、以下、PLN)は、その子会社であるPT. Pembangkitan Jawa Bali(PJB)を通じて、リアウ州インドラギリヒリル県のテンビラハン石炭蒸気発電所(容量7MW×2基)で石炭の代替燃料として、パーム椰子殻(PKS)100%を使用する試験に成功した。
PLN社長・ダルマワン・プラソジョ氏は、「High Co-Firing(HCR)」試験により6月15日に実施されたバイオマス100%燃料を用いる試みはインドネシアで初めてであり、将来のクリーンエネルギー導入に向けた解決策だと話した。ダルマワン社長がPLNの「グリーンブースター」計画の1つとして継続して行ったもので、PKSを石炭と同時に燃焼させる同時燃焼実験が、インドネシアの新しい再生可能エネルギーミックス目標を達成するサポートとなることが期待されている。
「バイオマス100%の燃料を用いるのは、インドネシアでより良いクリーンエネルギーを提供するためのPLNグループの試みです。当社がパイオニアとなり、今回の成功事例がほかの発電所でバイオマス燃料を用いるきっかけづくりとなることも願っています」(Darmawan社長)。
PLNは1.8GWの容量に達するまで、同時燃焼を最適化し続ける見込みだ。石炭とバイオマスを同時に燃焼する取り組みは、2025年の目標として掲げている52カ所のうち、現在31カ所で実施され、17万5,000tのバイオマス燃料が利用されている。この成果により、185GWhのクリーンエネルギーが生産され、18万4,000tのCO2が削減された。
「インドネシア政府が国内の炭素排出量を削減し、60年までにカーボンニュートラル目標を達成するのを支援するために、PLNは石炭とバイオマス燃料の同時燃焼計画を推進しています」(Darmawan社長)。
PJB運営責任者・ヨッシー・ノバル氏は、テンビラハン石炭蒸気発電所での同時燃焼試験は、計画された手順に従って段階的に実施されたと説明した。まず6月12日に石炭の代替燃料としてバイオマスを25%使用して運転を開始し、6月15日には燃料をバイオマス100%とした。
試験終了後に行われた共同評価によると、技術的モニタリングの結果、運転パラメータは正常範囲内であり、最大7MWの負荷で安定して稼働でき、最大バイオマス100%まで増やした場合も負荷が低下することはなかった。一方、PKSは発熱量が高いため、データから燃料の流れが改善される可能性が示されており、正味プラント熱量(NPHR)の割合が十分に有意であることが示された。
環境面では、PKSは石炭よりも硫黄含有量が少ないため、結果として生じる硫黄排出量も減少する。PKSはパーム農園の廃棄物とされており、灰分が少なく、カーボンニュートラルと見なされているため、より良い環境に影響を与えることが見込まれる。
出典:InfoSAWIT ENGLISH 6月19日