1973年のインドネシアのパーム油農園面積は約26万haであり、ほぼ完全に州立農園に属していた。しかし2021年には、その面積は約1,508万haになり、民間企業による大規模パーム農園の割合が大幅に増加した。州立パーム農園は3.84%、国民のパーム農園は40.34%、大規模な民間企業の大規模パーム農園は55.8%を占める。外国資本の大規模パーム農園が、とくに多く開発されてきた。
パーム農園 | 面積(百万ha) | 営業利益の 行き先 | 生産高 (兆ルピア) | 純利益 (兆ルピア) |
国の私有農園 | 0.52 | 国内と外国 | 33.67 | 30.30 |
大規模民間農園 | 7.90 | 外国 | 625.23 | 562.71 |
州立農園 | 0.58 | 国内 | 48.62 | 43.76 |
国民の農園 | 6.08 | 国内 | 529.21 | 476.29 |
合計 | 15.08 | 1,236.74 | 1,113.06 |
出典:Databoks, katadata, 2022.
一方で、上記のリストから、パーム農園事業から得られた利益の半分以上が、植民地時代と同じように外国に流出していることが分かる。この方針はインドネシア憲法第33章の価値観にそぐわず、インドネシア国民にとって望まれない方向であり、貧困化に関わる問題だ。
州立パーム農園は毎年の利益のうち30~50%を州に分配し、外国資本の大規模パーム農園の利益は外国に持ち出されることを考えると、州立パーム農園は州を豊かにするが、民間企業の大規模農園は所有者が利益を得るため、州にはメリットが少ない。
国民のパーム農園は1973年、インドネシア政府によって、州立パーム農園を中心にして小規模農家として指定することにより、開発され始めた。世界銀行が資金を準備した。「Perkebunan Inti Rakyat(国民の中心となる農園)」は効果的で成功した計画であり、インドネシア憲法の価値観に基づいている。

州立農園は、すべての事業部門が1つの企業にまとまっており、営業利益から支払う付加価値税は高い。一方、民間企業の大規模農園は銀行や政府の働きかけにより開発され、発展してきたが、事業部門ごとに独自の会社があるため、納税額ははるかに少ない。
この状態を改善するためには、解決策がある。1つ目に、外国資本のパーム農園において、石油開発のように国と農園会社が50:50または65:35の割合で生産共有契約を締結することだ。2つ目に、インドネシアのパーム農園面積のうち最大5%に制限し、残りを州立農園に提供し、営業利益の価値に応じて資産の補償金が支払われる仕組みが必要である。3つ目に、国の私有パーム農園もインドネシアのパーム農園面積の最大5%に制限し、残りは生産共有契約を同様に締結する。
国の私有パーム農園が大半を占め、国への資金提供も増える。国民の農園は、生産量を上げることを目指して管理され、再開発されることで、小規模農家の状況はより改善するだろう。大規模農園を開発するチャンスは多く、選択肢もあるが、それは政府がどのような政治的な決定をするかにかかっている。
出典:InfoSAWIT ENGLISH 3月3日付
著者:Padjadjaran大学の臨時講師兼インドネシアの専門家同盟会長のMemet Hakim