パーム農園の生産拡大を目指す
インドネシア中央統計庁(CBS)により、インドネシアのパーム油農園の規模は15~16年にかけて狭くなり、16~19年に拡大したことが発表された。19年のパーム油農園の面積は約1,460万ha(ha)で26の州におよんだ。リアウ州は19年に合計282万haの農園のうち19.31%を占め、最も農園の面積が広い州だった。
インドネシアのパーム油生産量は生産強化と生産拡大により、増加する可能性がある。管理体制を改善して農園を強化し、栽培技術と環境に関するバイオ技術を改良することで、新しくパームの木を植えることなく生産を拡大できる。
樹齢約30年の古いパームの木は、生産性を高めるために「パーム農園再植林プログラム」で植え替えることが必要だ。そのため、種子から栽培に使う製品までパーム油の知識と技術を習得しなければならない。インドネシアですべての持続可能な基準を満たすこと、または「インドネシアの持続可能なパーム油(ISPO)」認証によっても管理を行うべきだ。
ISPO証明書は、小規模な会社や株式会社向けに755件が発行されている。インドネシアのパーム油国営大手・プルクブナン・ヌサンタラ(PTPN)はISPO証明書が発行されている合計960万haの農園のうち、約580万haを所有している。一方、小規模農家、(労組)、村事業向けに発行されたISPO証明書はわずか20件で、全農園の0.18パーセント(約1万2,600ha)だ。
パーム農園拡大の課題
インドネシアのパーム油農家協会のGulat Manurung会長は以前、小規模農家グループのパーム油農園は、持続可能性指数では生態系、社会、経済の面で持続可能だと語った。しかし、小規模農家の農園の76.64%が森林地域にあるため、合法的な農園を独立して運営することに課題があり、管理体制と法的な面では持続可能ではない。
パーム農園を広げる方法は、新しい農園を取得することだ。事業権として使用される森林解放制度による生産森林地域の土地利用の転換によって合法的に新しい農園を拡大できる。
20年12月に発行された書籍『インドネシアの森(SOFO)2020』によると、農園への転換を検討できる生産林は約1,280万haであり、自然林モラトリアムに悩まされるべきではない原生林は約250万haだという。二次林は約370万ha、林冠は約650万haだ。つまり、パーム油の農園を含む林業を開発するために検討できる生産林約1,020万haがまだ残っている。
パーム農園は、転換を検討できる約1,020万haの生産林を利用して拡大すべきだ。たとえば、パーム農園は、1,020万haの生産林の30%にあたる300万ha以上を利用できるため、パーム油生産量は1haあたり約900万トン増加する可能性がある。パーム農園では、1年で3回収穫される可能性があるため、約300万haにパームを新たに植えることで年間2,500万トン以上のパームを収穫できると試算されている。
178万haの農園で事業権が失効
残念ながら、予備の1,020万ha(会話可能な生産林)の農園のうち、企業137社が取得している19の州にある約178.8万haのパーム油農園ライセンスは、インドネシア政府によって権利が取り消されたため、事業権がない。規制に関して、不正が行われている。事業権が最も多く失効したのはパプア州で、その農園面積は約68.09万ha(26社)におよぶ。
また、西パプア州で約38.2万ha、中部カリマンタン州で約35万ha(39社)ジャンビ州で約5.87万ha(3社)が失効した。残りは15の州で、アチェ州(1ライセンス)、北スマトラ州(1ライセンス)、西スマトラ州(2ライセンス)、リアウ州(3ライセンス)、リアウ諸島州(1ライセンス)、南スマトラ(1ライセンス)、西カリマンタン州(8ライセンス)、南カリマンタン州(5ライセンス)、東カリマンタン州(5ライセンス)、北カリマンタン州(2ライセンス)、ゴロンタロ州(5ライセンス)、中部スラウェシ州(2ライセンス)、西スラウェシ州(1ライセンス)、マルク州(5ライセンス)、北マルク(6ライセンス)となっている。
政府の許可なしにパーム油農園ライセンスを代用するという企業の違反が行われている。森林解放ライセンスを発行した環境林業省はこれらを取り締まるだけでなく、パーム油農園の森林解放ライセンスを役立てて、農園周辺で採掘を行う可能性があるという。
出典:InfoSAWIT 2月1日付