インドネシアパーム油協会(IPOC)副会長・TOGAR SITANGGANGが12月2日、インドネシアパーム油会議(IPOC2021)で「2022年のインドネシアのパーム油価格の予測」について講演した。パーム油の価格が高騰し、高値の記録を更新している。インドネシアとマレーシアにおけるパーム油の生産は、高まる需要に追いついていないのだろうか。

パーム油の生産動向
 インドネシアパーム油協会(IPOC)副会長・TOGAR SITANGGANGが12月2日、インドネシアパーム油会議(IPOC2021)で「2022年のインドネシアのパーム油価格の予測」について講演した。

インドネシアパーム油協会(IPOC)副会長・TOGAR SITANGGANG
インドネシアパーム油協会(IPOC)副会長・TOGAR SITANGGANG

 2021~20年のインドネシアのパーム油の生産量は下記の通りだ(9月時点)。

Palm Oil Production2021 vs 2020
2021~20年のインドネシアのパーム油生産量
( クリックで拡大、 IPOC2021、インドネシアパーム油協会副会長・TOGAR SITANGGANGの発表資料より)

 インドネシアにおけるパーム油の生産量は、下記の影響を受けている。

<短期的な影響>
・18~19年にパーム油価格が下がったため、パームに与えた肥料が少ない。
・19年の乾季に大規模な森林火災が発生した。
・20年は生産量がとくに多い月がなかった。

<中期的な影響>
・22年初めはパーム油の在庫が少なくなる。
・1~3月は生産量が少ない時期となる。
・コロナ禍で、生産が元通りの体制に戻るのかわからない。

<長期的な影響>
・インドネシアでは、生産性の低い小規模農園がパーム油農園の40%を占める。
・小規模農園向けの「パーム再植計画」はまだ完了していない。

パーム油の輸出動向
 パーム原油(CPO)は20~21年にかけて、大豆油やヒマワリ油、菜種油などの植物油と同様に高騰している。20~21年のインドネシアのCPOと精製パーム油(RBD PO)の輸出量は下記の通りだ(9月時点)。インドネシアのジョコ・ウィドド大統領はパーム油製品の輸出を促進しており、CPOの輸出を将来的に禁止する方針を発表している。そのため、RBD PO 輸出量が増え、CPO輸出量は減少している。

Palm Oil monthly export 2020-2021
2020~21年の月間パーム油輸出量
( クリックで拡大、 IPOC2021、インドネシアパーム油協会副会長・TOGAR SITANGGANGの発表資料より)

 19~22年のインドネシアのパーム油の生産・輸出動向は下記の通り。

Indonesia Palm Oil Performance 2019-2022
インドネシアの2019~22年のパーム油生産・輸出動向
(クリックで拡大、IPOC2021、インドネシアパーム油協会副会長・TOGAR SITANGGANGの発表資料より)

 新たなパーム農園の開発地域がほとんどないため、インドネシアの21年のCPO生産量は前年比▲0.87%の4,662万tとなる見込みだ。22年のCPO生産量は同+2.95%の4,800万tまで増加すると予測されているが、CPO生産量は25年ごろに横ばいになる可能性がある。

 22年初めのCPO在庫量は前年比▲21.01%の384万tになると見込まれており、22年1~3月頃までパーム油の価格の高騰が続く可能性がある。22年のCPO輸出量は同+6.02%の300万t、RBD PO輸出量は同+0.76%の2,580万tになると予測されている。インドネシアのCPO のFOB価格は1tあたり1,000~1,250ドルとなるだろう。

【石井 ゆかり】