インドネシア食糧・農業産業調整次官のMusdhalifah Machmudが12月1日、インドネシアパーム油会議(IPOC2021)で「新たなインドネシアの持続的なパーム油(ISPO)認証の実施状況」について講演した。ISPO認証は、パーム油農園の持続的な開発と管理、国際的な競争力の強化、温室効果ガス排出量の削減を目的として導入された。インドネシアのパーム油農園のうち、ISPO認証を取得している農園は453万ha(27%)、ISPO認証を取得していない農園は約1,203万ha(73%)だ。

ISPO認証とは?

 インドネシア食糧・農業産業調整次官のMusdhalifah Machmudが12月1日、インドネシアパーム油会議(IPOC2021)で「新ISPOの実施状況」をテーマに講演した。「インドネシアの持続的なパーム油(IPSO認証)」はインドネシア大統領令2020年第44号によるもので、ISPOの目的は下記の3つだ。

 (1)IPSO原則と基準により、パーム油農園管理の向上と開発の実施。
 (2)国内外市場におけるインドネシアのパーム油農園の競争力を強化し、国際的な支持を得ること。
 (3)温室効果ガス排出量の削減の強化。

 ISPOに関して、施行される法律は以下の通り。

 ・経済担当調整大臣法令2020年第10号(ISPO組織制度の管理)
 ・農業大臣法令2020年第38号(川上のサプライチェーン向けのISPO認証の実施)
 ・工業大臣法令(制定中、川下のサプライチェーン向け)

新IPSO認証で改善されたこと

ISPO
新IPSO認証で改善されたこと
(IPOC2021、インドネシア食糧・農業産業調整次官のMusdhalifah Machmudの講演資料より)

 新ISPOの指針は以下の通り。

 (1)法律や規則の遵守
 (2)農業生産工程管理(GAPs)の適用
 (3)環境や自然資源、生物多様性の管理
 (4)労働者に対する責任
 (5)社会的責任、地域経済の強化
 (6)透明性
 (7)事業持続性の向上

 小規模の自作農園、国営企業、民間企業などあらゆる種類の農園に対して、ISPO認証の取得が義務付けられている。小規模農園に対しては、5年間の移行期間がある。インドネシア政府は小規模農園に対して指導・監督を行い、小規模農園グループや小規模農園協同組合の役割を強化する。

IPSO認証の実施状況

 インドネシアでISPO認証を取得しているのは、パーム原油(CPO)1,204万トン、農地453万ha。内訳としては、小規模農園23件(3%)、国営企業67件(9%)、民間企業675件(88%)となっている(Kementan 2021より)。インドネシアのパーム油農園1,683万haのうち、ISPO認証を取得している農園は453万ha(27%)、ISPO認証を取得していない農園は約1,203万ha(73%)となっている。

 インドネシア政府は、ISPOが国際的に正しく評価されるよう、日本など輸出先の国と外交会議で建設的な対話を行い、持続可能なパーム油に関する取り組みを進めている。

【石井 ゆかり】