2030年度までに再エネ導入量3倍に
――目標達成のためにどのような施策を考えておられるのでしょうか。
再エネ導入推進課 産業都市として、ものづくり産業と中小企業の競争力を強化することが最重要課題です。そのため、脱炭素先行地域においてはPV(太陽光発電)・定置型蓄電池やEV(電気自動車)、省エネ機器の低コスト型第三者所有モデルを構築し、それを市内の中小企業などに展開することで、企業の競争力強化につなげていくことが求められます。さらには、本市が取り組む環境国際ビジネスを通して同モデルの海外展開を推進することで、世界の脱炭素化にも貢献していきたいと考えています。
また、風力発電や水素なども含めた脱炭素エネルギーの拠点化を図るとともに、再エネの導入拡大にともなう新たな産業の創出を目指します。これらの取り組みを通じ、安定かつ低廉な脱炭素エネルギーの供給・利活用体制の構築を図り、産業の競争力と都市の魅力を向上させ、2030年度までに再エネ導入量約1,400MW(北九州市内、現在の約3倍)を目指します。
――PV・EV/蓄電池・省エネ機器の低コスト型第三者所有モデルとはどのようなものでしょう。
再エネ導入推進課 所有から利用へのビジネスモデルの転換を通じて、初期コストゼロで導入スピードの迅速化を図るものです。さらにIoTを活用した維持管理によって設備の長寿命化とトータルコストの低減を実現させるモデルとなります。また、さらなるコスト低減に向けて、北九州エコタウンのリサイクル企業や自動車メーカ―などと連携して、中古PVパネルの再利用や、EVバッテリーのリユース、リサイクルなどにも取り組んでいます。なお、EVバッテリーのリユース、リサイクルにつきましては、事業の推進に向けた体制を構築するため、今年4月にトヨタ自動車九州(株)と「カーボンニュートラル推進に関する連携協定」を締結しました。

脱炭素先行地域では、この低コスト型第三者所有モデルにより都市圏域の公共施設群および北九州エコタウンのリサイクル企業群において、PV・EV/蓄電池・省エネ機器を導入するとともに、再エネの最大導入、最適運用モデルを実現させます。北九州市では2025年度までに全公共施設(約2,000施設)を再エネ100%電力に切り替える目標を掲げており、10月11日現在、そのうち447施設は、再エネ100%電力に切り替え済みです。
これらの取り組みと合わせて、中小企業などの脱炭素化と生産性の向上を支援するべく、「CO₂排出量算定と省エネ診断、製造ラインの効率化支援」「再エネ・省エネ設備導入補助」「ロボット・IoTなどの活用による生産性向上支援」などの支援を行っているほか、運輸部門の脱炭素化を推進することを目的に、30年度までに約800台ある一般公用車をすべて電動化する目標を掲げるとともに、民間への電動車の普及を目指し、市役所本庁舎と隣接する(株)井筒屋との間で、全国初の取り組みである「自治体-企業間EVシェアリング実証事業」を開始したところです。
(つづく)
【新貝 竜也】
※ 北九州市、直方市、行橋市、豊前市、中間市、宮若市、芦屋町、水巻町、岡垣町、遠賀町、小竹町、鞍手町、香春町、苅田町、みやこ町、吉富町、上毛町、築上町の6市12町