「環境先進都市」として脱炭素の取り組みを積極的に行っている北九州市。今年4月には北九州市を含む北九州都市圏域(※)が環境省から「脱炭素先行地域」に選定されるなど、その取り組みは高く評価されている。北九州市環境局グリーン成長推進部再生可能エネルギー導入推進課に北九州市のこれまでの取り組みや今後の課題などを聞いた。

「ゼロ・カーボンシティ」を目指して

 ――脱炭素に関して、北九州市がこれまでに行ってきた取り組みについて教えてください。

 再生可能エネルギー導入推進課(以下、再エネ導入推進課) 北九州市を含む北九州都市圏域(以下、都市圏域)では、活力ある社会経済を維持するための拠点を形成することを目的に連携を図っています。

 都市圏域には鉄鋼・機械・化学などの素材型産業や自動車関連産業などのものづくり産業が集積するとともに、サプライチェーンを支える中小企業が多数立地しています。また、北九州若松区の響灘地区にある国内初承認を受けたエコタウンである「北九州エコタウン」には資源循環型産業が集積しており、都市圏域全体における温室効果ガスの排出量は福岡県全体の排出量の約6割に相当する約2,410万t-CO₂と推計されています(2018年度)。

 都市圏域では、今年7月に改訂された「第2期北九州都市圏域連携中枢都市圏ビジョン」に基づき、持続可能なまちづくりに資する脱炭素化と地域エネルギー政策の広域化の推進を図っています。都市圏域において中枢的な役割を担う北九州市では、これまでに国の「環境モデル都市」「環境未来都市」、OECD(経済協力開発機構)の「グリーン成長都市」として、城野ゼロ・カーボン先進街区を整備するなど、環境政策をリードしてきました。また、産業政策と環境政策を統合し、国内で最大級のリサイクル拠点「北九州エコタウン」を創設したり、地域エネルギー拠点化推進事業では、響灘地区への再生可能エネルギー発電所等の集積や、電力の安定供給のために地域新電力「(株)北九州パワー」を設立したりするなど、再エネの導入および利活用を推進しています。

 水素の供給・利活用推進については、八幡東区東田地区における「水素パイプラインを活用した技術実証事業」や、若松区響灘地区における「CO₂フリー水素製造・供給実証事業」などの実施を通じて検討を進めています。2021年8月には「北九州市地球温暖化対策実行計画」を改定し、50年の温室効果ガス排出実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目指すうえで、30年度に13年度比で温室効果ガス排出量を47%以上削減する目標を掲げています。さらに、環境と経済の好循環による新たな成長に向けたアクションプランとして、「北九州市グリーン成長戦略」を策定し、体系的で戦略的な施策の推進を図っている最中です。

(つづく)
【新貝 竜也】

※ 北九州市、直方市、行橋市、豊前市、中間市、宮若市、芦屋町、水巻町、岡垣町、遠賀町、小竹町、鞍手町、香春町、苅田町、みやこ町、吉富町、上毛町、築上町の6市12町